健康ってすばらしい

子宮体がんサバイバーの随筆

素晴らしき脊髄麻酔

さて、手術室のベッドの上で意識が戻った、

とその瞬間下っ腹に痛みを感じた。

 

「痛いっ、痛いっ!」

術前のひどい生理痛の時のように痛みを感じ

思わず口に出す。

実際は比較にならないだろうけど。

お腹切られているのだから。

 

すると看護師さんが

「すぐ痛くなくなりますよ。」

と優しく声をかけてくれた。

すぐに痛みが引いていく。

 

今の会話の流れから察するに、

全身麻酔→手術→意識が戻るのを確認→脊髄からの局所麻酔

なのだろう。

ということは、意識が戻る瞬間というのは痛み止めが何も効いてないということだ。

怖っ!

お腹切られて子宮と卵巣取られているのに

麻酔が効いていない瞬間があるとは!

怖っ!

 

すぐに脊髄麻酔が効いてくれてよかった。

 

この脊髄麻酔は本当に優れもので、

てきめんに効いてくれて、

針を抜くまでずっと効いてくれる。

 

背中から細いチューブは出ているが、

とても細いのでそんなに気にはならない。

 

もしまだ脊髄麻酔がなく、

痛み止めの飲み薬しかなかったとしたら...

想像しただけでも恐ろしい。

 

私の生理痛の痛みですら、

やつらは完全には抑え込められなかったのだから。

 

やつらは1日2回まで、多くても3回まで服用できるのだが、

私の場合きっちり6時間で効き目がなくなってくるので

結局1日4回服用せざるを得ない。

 

さらに服用してから効き始めるまでが時間がかかる。

その間はただひたすらに冷や汗かきながら

耐えるしかない。

 

これを生理の1日目から3日目まで続けなければならない。

それに比べたらなんと脊髄麻酔の快適なことか!

 

脊髄麻酔のリスクも当然あるだろう。

何事にもリスクはある。

だが術後の痛みを耐えるには、やはり必要だろうと思う。

 

私の父は私が小学生の頃

大腸がんの手術を受けた。

私の手術から約25年ほど昔になるが、

その頃には脊髄麻酔はあったのだろうか。

 

父よ。

もしあなたが痛み止めの飲み薬だけで耐えていたのだとしたら

あなたは英雄です。

 

いや、父だけではない。

 

まだ脊髄麻酔というものが開発される前に

開腹手術をされた方々。

 

そして脊髄麻酔が開発されてから

試験的にそれを試された方々。

 

あなた方は英雄です。

 

脊髄麻酔のおかげで、

手術の次の日には病室を歩けた。

 

これも父の時代とは大きく異なる。

父の時代は、とにかく安静。

とにかく動かさないように。

 

今は違う。

術後の合併症を防ぐために、

なるべく早くベッドから起きて動くように指導される。

 

いや、でも体を動かす時は勇気がいったけどね。

力を入れた瞬間、

どゔぁぁぁっと

傷口が開くんじゃないかと思って。

 

主治医の先生、

きれいに縫ってくれてありがとう。

 

金属で肌が荒れることがあるので、

医療用ホチキスじゃなく縫ってくださいとお願いした時、

「あれ、時間かかるんですよねぇ...。」

と明らかに面倒くさそうにしていましたが、

先生のおかげで傷口開きませんでした。

先生、ありがとう!