健康ってすばらしい

子宮体がんサバイバーの随筆

の◯太流奥義

そんな、どぎゅーんの恐怖に怯えつつ、

術後第一日目の夜を迎えた。

 

病室での泊まりの付き添いは

基本ダメですと言われたが、

やはり人生初めての手術ということで

旦那に付き添ってもらうことにした。

 

入院初日つまり手術前日は近くのホテルに宿泊し、

入院二日目つまり手術当日の夜は

付き添いとして病院に泊まった。

 

病室は個室だったが、

泊まりの付き添いは基本的にはしてないので

特に付き添いの人用のベッドなどはなく、

ソファに雑魚寝することになった。

 

旦那には寝づらいところに泊まってもらうことになり、

申し訳ない気もしたが

とても心強かった。

 

消灯時間になったが、

何かあった時にすぐに対応してもらえるよう

常夜灯はつけたままにして寝た。

 

いや、寝ようとしたが寝れるはずもない。

そもそも普段から不眠症で、

寝付きが悪い上に眠りが浅いのだ。

枕が変わり、チューブに巻かれ、

ちょっと動こうにもどぎゅーんが襲ってくる。

眠くすらならなかった。

 

そんな時、

「ぐご〜。ぐご〜。」

私の足元の壁側に置かれたソファの方から

のんきないびきが聞こえてきた。

 

私は忘れていたのだ。

旦那が某有名国民的アニメのの◯太君ばりに

いつでもどこでも3秒で寝れるということを!

 

このような特殊な状況下でも

いつも通りのの◯太君。

 

付き添いとはいかに。

 

それはまさに、

非日常の中で唯一の日常の光景であり、

そのおかげで私の心は

癒やされるのであった...

 

なんて思えるかぁぁ!!!

そんなちょっと感動的な、ちょっとうるうるするような感じで

思えるかぁぁ!!!

こちとら吐き気に襲われて、

吐こうにも腹筋に力が入らず

むかむかしとるんじゃぁぁ!!!

 

たまらず

「おーい...」

力なく呼びかける。

「ぐご〜。ぐご〜。」

相変わらずのいびき。

 

もう少し音量を上げて

「おーい。」

「ぐご〜。.....(無呼吸)ガッ!」

そしてまた寝る。

 

「ねー!!!」

渾身の力。

「えぇ?」

ようやく起きた。

 

ホントに、付き添いとは。

 

そんなにいつでもどこでも寝られるとは

なんとも羨ましい限りである。

 

だがそんな旦那でも、

会社からの呼び出しの電話は

どんなに熟睡していても瞬時に起きる。

 

それすなわち、

緊急性において

術後の私よりも会社からの呼び出しのほうが

高いことを意味しているのは

まことに腹立たしいことであるが、

どのように聞き分けているのだろうか。

 

あたかも野生動物が敵に襲われないため、

寝ている時も半覚醒状態のままでいるかのように、

熟睡していると見せかけて実は

半覚醒状態で寝ているのだろうか!

もはやそれはの◯太君超えなのではなかろうか!

 

なーんて書いていてアホらしくなってきたので

今日はここまで。