健康ってすばらしい

子宮体がんサバイバーの随筆

あなたならどっち?

さて、私のブログに度々登場する主治医、

淡々告知の淡々先生。

あらゆることを淡々と告知してくる。

 

誤解のないように

再度言っておくが、

淡々先生はいい先生である。

 

では

「いい先生」

とはどんな先生か。

 

診断を素早く出せる先生か。

はたまた

手術がうまい先生か。

 

いろんな意見があると思うが、

私が思う「いい先生」は

 

「患者の話をよく聞いてくれる先生」

 

である。

言い換えると

 

「患者がたくさん質問してもキレない先生」

 

である。

 

患者さんは不安である。

自分がどんな病気なのか、これからどうなっていくのか。

その不安からいろんな疑問が生じてくる。

その不安を、疑問を、

きちんと受け止めて応えてくれる。

それが

「いい先生」

なのではないか。

 

淡々先生に巡り会えたのは、

がんになるという不幸中の

とんでもない幸いであった。

 

産婦人科の個人病院から

紹介状をもらうことになり、

その時に次の大きな病院の予約も入れてもらった。

その予約が淡々先生の診察であった。

 

笑顔で明るく、という感じではなく、

物静かで必要なこと以外は話さないが、

こちらの些細な質問にも丁寧に答えてくれる。

 

過去に二度ほど、

こちらがちょっと質問すると

「そんなことはありませんから!」

とか

「もう、とにかく大丈夫ですから!」

とか、

そういうお医者さんに遭遇したことがあるので、

よけいに淡々先生の聞く姿勢がありがたかった。

 

さて、このように全幅の信頼を寄せている淡々先生であるが、

ある時困った事態が起こった。

いつも通り診察に行ったら、

こんな事を言いだした。

 

「実は私、病院を移ることになりまして。」

(は?)

 

「次の診察の時には別の病院に移っているんですが。」

(はい〜〜???)

 

「どうされますか?」

(どうされます?!)

 

「他の患者さんで、私と一緒に転院希望される場合は

 次の病院への紹介状を書いてるんですが。」

 

なんと。

そんなことが起こるのか。

 

聞けば、今の病院には一時的に来ていただけで、

元々いた病院に戻るらしいのだ。

 

さて、どうするか。

 

手術をした病院は

がんに特化した病院で、

とにかくどこも混んでいた。

 

駐車場も採血もCTも、もちろん診察も。

外来で待たされる身とすれば辛いことだが、

その分画像診断や手術で経験が豊富ということだ。

 

淡々先生の移動先の病院は、

同じく大きい総合病院ではあるが、

がんの治療となると

数は劣るだろう。

 

さてどっちを取るか。

先生への信頼か、病院の経験値か。

 

考えること1秒。

 

「あ、私も移ります。

 紹介状書いて下さい。」

 

即答である。

0.5秒ほどは経験値について迷ったが、

やはり信頼には勝てない。

 

それほどに、

いいお医者さんに巡り会えるのは難しいのだ。

 

願わくば、

私が老衰で燃え尽きるまで

かかりつけ医になってほしいものだ。