健康ってすばらしい

子宮体がんサバイバーの随筆

虫の知らせ

あの日私はいつも通りピルをもらいに産婦人科に行っていた。

 

年々ひどくなる生理痛と、年々多くなる経血から逃れるため、

ピルを飲み始めていた。

 

毎日飲み忘れないようにするのは大変だったが、

すべての煩わしさからの解放感が勝った。

 

そして待合室でふと、本当にふと、

しばらく子宮頸がん検診を受けてないことと、

最近お腹の奥深くで性交痛があることを思い出した。

 

町の検診で受ければ格安で受けられるのだが、

町の検診は毎年ではなく、その年は受けれる年ではなかった。

 

いつもならそのままピルをもらって普通に帰るところなのだが、

年々ひどくなっていた生理痛に加え、

お腹の奥深くの性交痛が気になった。

 

今まではなかった鈍い痛み

 

漠然とした不安が、面倒くささと、検診料のもったいなさを上回った。

 

「やっぱり異常なかったよね〜ということを確認するための検査」

「不安を払拭するためだけの検査」

「虫が知らせてくれたからとりあえず受けてみた検査」

だったのだが...

 

結果は

 

グレーでした!

はっきりと断定できないけど、異常がある細胞が見つかりました!

 

ということで、もっと大きい病院での要精密検査となりました。

 

私としては、その場ですぐ不安が払拭されるものと思っていたので、

いたくショックを受け

軽々しく検査なんてしなきゃよかったという後悔と、

見つかるなら早く見つかったほうがいいのだという慰めと、

漠然とした不安ではないものすごく大きな不安と、

まぁとにかくいろんな感情でいっぱいだった。

 

そして、がんに特化した大きな病院で精密検査を受け

診断されるのであった。

 

あの日知らせてくれた虫さん、本当にありがとう

私の面倒くさがりと金銭欲にも負けずに知らせてくれて、ありがとう

虫さんの声に渋々でも従って、検査を受けた私、よくやった

 

そして今も心に残っているのは、

精密検査をした大きな病院の主治医のプロフェッショナルな態度。

 

なんと淡々と告知をすることか

 

「子宮体がんですね。

 子宮と卵巣、全摘出ですね。」

 

所要時間5秒。

 

頭まっしろ

「全摘出にしたほうがいいと思いますが、

 それでいいですか?」

ではない。

「全摘出ですね。」

断定。

 

年齢的にも子供を産むには遅いからそう言ったのだろうが、

一応確認するとかはないのだろうか。

患者を動揺させないように、あえて淡々と言っているのだろうが、

あまりにあっさりな告知。

 

誤解のないように言っておくが、

私の主治医はとてもいい先生である。

 

些細な質問にも丁寧に答えてくれる、

診察の時間もとっても長い

(ゆえに待ち時間も異常なほど長くなるのだが)、

信頼できるとてもいい先生である。

 

だからこそ、やっぱりあの告知は

動揺させないための配慮ゆえのスーパー淡々告知だったのだろうと思う。

 

いや、あまりにあっさりしすぎていても

それはそれで動揺するけどね。