健康ってすばらしい

子宮体がんサバイバーの随筆

予想外の展開

結果的に、月をまたがないように、かつできるだけ早い入院ということで、

12月1日の入院にしたのは正解だった。

 

通常であれば、1週間〜10日間ほどで退院になるのだが、

結局私は27日間も入院していたからだ。

 

自分でも驚きだった。

いくら月をまたがないようにといっても、

その月の第一日目に入院するとは、

念には念を入れすぎだろうと思っていた。

がしかし、人生何が起こるかわからないものだ。

 

手術から3日目くらいに、

もう少しで退院できそうだという話を主治医から聞いた。

お腹からドレーンを抜いていた時だ。

 

ドレーンとは、術後に体の中に溜まる液を抜くために入れる管である。

下っ腹に左右2本入っていて、結構な量の何やらよくわからない液が

体内から出ていた。

術後3日目で、あんまり量が少なくならなかったのだが

とりあえず抜いてしまって、穴を閉じようということだった。

 

今考えれば不思議である。

体の中に管が入ったままで、

普通に歩いたり、食事したり、トイレに行ったりするのだ。

左右2本も。

特別痛みもないので、てっきり体の中に入っている管の長さは

せいぜい10センチくらいなのだろうと思っていた。

ところがだ。

 

処置室のベッドに座り、

先生がドレーンのまわりのガーゼを取り

(私は排液の量が多かったので、大人用紙おむつを巻かれていた...)、

消毒をし、

「では抜きますよ。」

と相変わらず淡々と言った。

すると

ズ〜ルズルズルズル〜〜〜〜!!

 

予想を遥かに上回る長さのドレーンが

予想を遥かに上回る速さで一気に抜かれていった。

 

えええええ〜〜〜〜

と唖然としていると

ドレーンを抜いた穴の近くのお腹の肉を

ぐいっと引き寄せて

巨大な医療用ホチキスを近づけてきた。

 

いやいやいやいや

まさかまさかこのまましませんよね???

麻酔とかなんかしますよね???

 

バチン!!

容赦ないホチキスの音。

バチン!!

しかも2回。

 

めちゃめちゃ痛い!

まじっすか!そのままホチキス打ち込むとかあるんすか!

両側から肉引き寄せてホチキスすると傷口ってふさがるんすか!

 

そんな言葉が頭の中を駆け巡っている中、

先生はさらにもう1本のドレーンに手をかけた。

 

えええええ〜〜〜〜!!

またもう1回ですか???

勘弁してくださいよ〜〜〜!!

 

ズ〜ルズルズルズル〜〜〜〜!!

 

バチン!

バチン!

 

唖然としたまま病室に戻る。

 

あんなに長いドレーンが、しかも2本も

どうやってお腹の中に入っていたのだ

しかも痛みもなく

 

そして先生、ためらいなさすぎでしょ

抜くのもホチキス刺すのも

 

日本の医療に衝撃を受けていたが、

もう少しで退院できるという言葉にほっとしていた。

 

ここからあのような試練が起きようとは

誰も予想だにしていなかった。