健康ってすばらしい

子宮体がんサバイバーの随筆

遠くの大病院 近くのヤブ医者

私はへき地に住んでいる。

 

近くにある病院は、

働いている看護師さんからも

ヤブだと言われている。

 

なので一番最初に子宮頸がんの検査をしてもらった

個人の産婦人科の病院も、

その後の精密検査や手術をしてもらった大病院も、

自宅からはかなり遠いところにある。

 

近くのヤブだと言われている病院の利点は、

いつも空いていることだ。

 

私は風邪用の病院だと思っている。

さすがに風邪の診断を間違えることはあるまい。

 

精密検査を受ける時点で、

地元の病院を受けようとは

全くもって選択肢にも上がらなかった。

 

高速を使っても2時間以上かかる大病院に行くことに

迷いはなかった。

手術となれば、自分の命がかかっている。

 

実際行ってみて、いい先生に巡り会えたのもあり、

自分の選択に間違いはなかったと思う。

 

…思うのだが、正直やはり遠すぎた。

 

高速を使っても片道2時間以上かかるので、

旦那が病院に顔を見せるのは週末だけだった。

どんなに高熱でうなされていても。

 

そして退院後、

抗がん剤治療のため入院する時も

旦那に有給をとってもらい、

退院は週末の旦那が休みの時に合わせてもらった。

 

抗がん剤治療以外の通院の時も、

大病院ゆえに待ち時間も途方もなく、

往復4時間の移動時間と

合計4時間超えの待ち時間と診察時間で

ぐったりするのであった。

 

だが、近くのヤブ医者よりは絶対マシだと思っていた私。

 

ところがある日、事件が起こる。

 

私は原因不明の高熱で救急車で運ばれ

近くのその病院に入院することになってしまった。

まだコロナが起こる前のことである。

 

朦朧とする頭の中で、

(うわ〜、マジか〜。逆にヤバいんじゃないか〜。)

と焦っていた。

 

だって、そこで働く看護師さんですら

別の病院に行くというくらいなのだから。

 

だが、私はここでも素晴らしい運命の出会いをする。

 

たまたまその日病院にいたのは、

若くてやる気に溢れている先生だったのだ!

 

常勤のヤブと噂されている先生ではなく、

外部からへき地に来てくれている、

都会の大病院の先生!

 

ああ、私はなんて先生運があるのだろうか。

運がいいのか悪いのか、わからない人生だ。

 

先生はすぐさまいろんな検査や処置をしてくれた。

 

そのまま入院することになったのだが、

看護師さんもみんな優しくて、

先生も一生懸命で、

言うことなしだった。

 

完全に評価が逆転した。

 

さらに、遠くの大病院よりも

こちらの病院に軍配が上がった最大の理由は、

旦那がほぼ毎日仕事終わりに

顔を見せに来てくれたことだ。

 

原因不明の高熱でうなされている中、

やはり顔を見せてくれるだけでも安心するものだ。

 

今はもう、その先生は異動していなくなってしまったので、

本当にたまたま運が良かったのだろう。

 

医療内容の安心さと、

旦那が近くにいることの安心さ。

 

さて、どっちを優先するべきか。