健康ってすばらしい

子宮体がんサバイバーの随筆

魚の目とプレステと私

手術が決まった頃、

私は最強の魚の目と戦っていた。

 

普通に歩く分にはいいのだが、

ちょーっとでも芯の部分に力を入れると

悶絶するレベルだった。

 

市販の魚の目薬で芯を取り除こうとしたが、

まったく歯が立たなかった。

なにせ最強なので。

取れたと思ってもすぐ蘇ってくる。

 

手術が決まった時、

私は思った。

 

「子宮と一緒に魚の目も取り除いてもらえば一石二鳥じゃん!

 どうせ麻酔するんだし♪」

 

手術経験者の方、医療関係者の方からすると

は?

と思われるだろう。

 

母親にも言われた。

「は?なにアホなこと言ってんの。」

 

手術未経験者からしたら、

手術のイメージとはこんなものである。

 

寝ているうちに元気になっている!やったー!

 

この頃の私は、前にも書いたように、

「手術を受ける」といっても現実味がなくふわふわしていたので、

筋肉のどぎゅーんや、内臓のぞぞぞなど

手術後に待ち受けるあんなことやそんなことなど

予想だにしていなかった。

 

主治医の淡々先生に

お願いする直前に思いとどまったが、

今となっては言わなくてホントによかった。

もし言っていたら

いつものように淡々と

「そんなこと出来ませんよ。」

と呆れられていたことだろう。

 

入院時に思いとどまったことが

もう一つ。

 

それはプレステを持っていくこと。

 

何を隠そう、私はゲーマーである。

ひと度ゲームを始めれば

寝食を忘れやり続ける。

(若い頃限定)

 

もし仕事もせずゲームに没頭できる環境があるのなら

そこはもはや天国である。

 

だがこれも残念ながら思いとどまった。

いや、「思いとどまった」というよりも

「断念した」が正しいかもしれない。

 

当時もしもPSPニンテンドー3DSを持っていたら、

嬉々としてベッドの中で

レベルアップに勤しんでいたかもしれない。

 

アラフォーの大の大人が、

プレステのような目立つゲーム機を

病室に持ち込んでやり込んでいるのは、

いかがなものか。

 

いや、個室ならありか?

 

いや、持ち込みやすいゲーム機を買うか?

 

ぎりぎりまで己の欲望と格闘したが、

無職の身で、

入院中にゲーム漬けになるためだけに

新たなゲーム機買うほどの

節操なしではなかった自分を褒めたい。

 

という訳で

寝ている間に魚の目を取り除き、

回復しながらゲーム三昧の日々を送り、

そして健康体を手に入れるという、

一石三鳥の野望はついえた。

 

果たして実際のところ、

大の大人が病室でゲーム三昧になるのは、

有りか、無しか。

 

もはやそれは

規則というよりも

周囲の目に耐えられる

心の強さの問題になるのだろうか。

 

もし

普通にOKですよ〜というなら

なんとももったいないことをした...